【お困りごと図鑑】相続で信託登記が有用になる際 その2 2018/12/05

前回につづき
「高齢で書類手続きが困難な際【信託登記】で受託者が代行可能に」
の、その2です。

【後見人よりも大きい裁量】
信託の受託者は成年後見人よりも裁量が大きく、管理を任されている財産の売買なども実行できる権限があります。新築アパートのこの計画に必要な借り入れの際の書類記入の手続きを娘さんにしてもうという算段をしたのです。この際、借り入れを申請しようとしていた金融機関から「前例がないことだから」と言われ、申請はすんなりとは進みませんでした。しかしながら、この件に関する金融機関側の担当者が融資部門の経験者だったことから、金融機関本部での打ち合わせ・調整の際に、担当者が金融機関と地主さん双方の立場での調整役として尽力してくれたことも幸いし、約2ケ月かかったものの、無事に申請が通りました。
書類上の手続きは、どうしても所有者の直筆が必要だった口座開設の2,3枚の書類は地主さんが、それ以降の17,18枚の書類は受託者の娘さんが記入しました。その後アパートは無事に竣工・稼働し、翌月それを見届けたかのように地主さんは亡くなったそうです。
この事例からも、相続対策の際には信託登記を活用することは非常に有効だということが分かります。それと同時に、打つべき先手は、なるべく早めにということも非常に重要であることも分かります。
高齢化が進み、「人生100年時代」とも言われるようになりましたが、ひとりひとりが心身ともに健康でいられるかどうかは分かりません。所有者は心身が健康でなく、資産管理の際に必要な手続きが出来ない状態だったとしても、その時に備えた対策が取られていなければ、所有者が生きている限り、誰も何もできなくなってしまうのです。
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